株式会社とは?メリット・デメリットを解説!

「株式会社」という言葉を一度は目にしたことがあると思いますが、株式会社の仕組みや合同会社など他の会社形態との違いを理解している方は少ないのではないでしょうか。

株式会社という会社形態が多く利用されているのには、理由があります。株式会社の特徴を理解すると、会社を設立する際に間違えずに会社形態を選択することができ、会社設立後の事業運営もしやすくなります。

この記事では、株式会社の特徴やメリット・デメリットを解説していきます。

目次

株式会社とは?

株式会社とは、株式を発行して資金を集めて設立される会社であり、代表的な会社形態の一つです。その株式会社は、以下のような特徴があります。

特徴1. 所有と経営が分離されている

株式会社の特徴の一つに、「所有と経営の分離」というものがあります。これは、会社の所有者と経営者を分離する仕組みのことをいいます。ここでいう、会社の所有者とは出資者である株主を、会社の経営者は経営を執行する取締役などを指します。

ただし、多くの非上場会社では、株主と経営者が同一人物となっていることがあります。また、社長および社長の一族で株式の過半数以上を保有する会社は、オーナー企業と呼ばれます。

所有と経営が分離されていると、株式会社における重要な意思決定は、経営者だけで判断することができず、株主総会で決議する必要があります。そのため、株主と経営者との間で意見が対立した場合には、意思決定に時間がかかることもあります。

特徴2. 1株1議決権の原則

株式会社では、原則として、株主総会における各株主の議決権の数は、1株ごとに1議決権があるとされています。

そのため、株式数を多く保有すればするほど、株主総会での発言力が強まります。株主総会の決議は、多数決で行われるため、過半数の株式を保有することで、その会社の実質的に支配することができます。

株式会社のメリット

株式会社にすることのメリットは、社会的な信用を得やすいことや、株式の発行による資金調達ができることなどが挙げられます。

1. 社会的な信用を得やすい

株式会社を設立すれば、社会的な信用を得やすいことがメリットの一つといえます。株式会社は、合同会社や個人事業主と比べて、認知度が高く、会社を経営するうえで遵守すべき法令等も多いため、社会的な信用が高い傾向にあります。

そのため、株式会社にすると、優秀な人材の採用や金融機関からの融資などの様々な場面で、有利になることが多いでしょう。

2. 株式の発行による資金調達ができる

資金調達というと、銀行などの金融機関からの融資を受けるという考えが一般的ですが、株式会社の場合、株式を発行することにより資金調達をすることができます。

3. 株式上場をすることができる

株式会社の場合、証券取引所に株式上場して、株式を発行することにより資金調達をするという仕組みがあります。このため、事業の拡大し、将来的に上場を考えたいという場合には、株式会社を設立することをおすすめします。

4. 節税効果を受けられる

株式会社をはじめとした法人は、個人事業主と比べて、節税効果を受けられるというメリットもあります。法人は、個人事業主よりも経費として認められる範囲が広いことや、優遇措置が受けられることなどにより節税効果が期待されます。

<主な節税効果>
・欠損金の繰越期限の延長
・比例税率の適用
・役員報酬の損金算入
・中小企業の優遇税制の適用
・法人として生命保険への加入
など

また、個人事業主の場合、所得が増えれば増えるほど、より高い税率が適用される超過累進課税制度が導入されています。一方で、法人の場合、所得の金額に関わらず、一律の税率が適用される比例税率であるため、所得が増えるほど節税効果が期待されます。

株式会社のデメリット

株式会社にすることで様々なメリットがあることを解説してきましたが、一方で、株式会社には、設立費用や決算公告の義務などのデメリットもあります。

1. 合同会社に比べ、設立費用が高い

株式会社とすることで、合同会社に比べて、会社の設立費用が高いというデメリットがあります。

株式会社の設立費用としては、法定費用が約242,000円、法人印鑑の作成その他費用が約10,000円となり、総額の目安としては約252,000円になります。

株式会社の設立費用は、合同会社と比較してみると、合同会社の2倍以上のかかることになります。

項目株式会社合同会社
定款用の収入印紙代40,000円40,000円
定款の認証手数料50,000円0円
定款の謄本手数料2,000円0円
登録免許税150,000円~60,000円~
法定費用合計242,000円~100,000円~

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2. 合同会社に比べ、ランニングコストがかかる

株式会社では、設立費用だけでなく、決算公告の掲載費や役員の重任登記費用などのランニングコストがかかります。

決算公告の掲載費

合同会社は、決算公告の義務がないため、決算公告の掲載費を抑えることができます。一方で、株式会社では、株主総会の開催後に決算公告することが義務付けられており、決算公告を官報掲載による方法で行う場合、約60,000円の掲載費がかかります。

役員の重任登記費用

合同会社は、社員の任期を定める必要がないため、重任登記費用を抑えることができます。一方で、株式会社では、役員の任期は最長10年となっているため、少なくとも10年に一度は役員の重任登記を行う必要があります。

株式会社から合同会社への組織変更も可能

組織変更手続きを行うことで、株式会社から合同会社へ組織変更することもできます。

株式会社として会社設立したものの、その後、事業運営の費用や事務負担を軽減するために、合同会社へ組織変更することもあります。株式会社から合同会社への組織変更は、手続き開始から1.5ヶ月~2ヶ月ほどかかりますので、余裕をもったスケジュールで手続きを進めていきましょう。

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おわりに

株式会社には、社会的な信用を得やすいことや株式の発行による資金調達ができることなどのメリットがあり、事業拡大を目指して、外部からの資金調達や優秀な人材の採用を想定している場合におすすめの会社形態といえます。また、株式会社の設立後に、事業運営の費用や事務負担を軽減したい場合には合同会社へ組織変更することもできます。

ビジネスモデル、事業規模や人材なども踏まえて、株式会社か、合同会社のいずれのメリットが大きいか、慎重に検討して選びましょう。

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