消費税の課税事業者とは?納税義務の判定方法を解説!

消費税の課税事業者とは、消費税を納付する義務がある法人または個人事業主のことをいいます。
原則として、法人、個人を問わず、事業者は消費税を納付する義務があります。ただし、中小規模の事業者については事務負担や税務執行負担への配慮として特例措置があり、納税義務の判定で免税事業者に該当する場合には、消費税の納税義務が免除されます。

この記事では、消費税の納税義務の判定方法について、解説していきます。

目次

消費税の納税義務の判定

消費税の課税事業者とは、消費税を納付する義務がある法人または個人事業主のことをいいますが、どのような場合に消費税の課税事業者になるのでしょうか。

ここでは、消費税の納税義務の判定方法を解説していきます。

1. 基準期間の課税売上高が1,000万円を超える場合

基準期間における課税売上高が1,000万円を超える事業者は、課税事業者に該当します。

基準期間における課税売上高とは、原則として、個人事業者の場合は前々年度の課税売上高のことをいい、法人の場合は前々事業年度の課税売上高のことをいいます。すなわち、二年前の課税売上高が1,000万円を超えている場合、課税事業者に該当するということになります。

なお、基準期間の課税売上高を判定する場合には、いくつか注意点があります。

<注意点>
・基準期間が1年未満の法人の場合は、1年相当に換算した金額により判定します。
具体的には、基準期間の課税売上高を、基準期間に含まれる事業年度の月数で割った額に12を掛けて計算した金額により判定します。例としては、4月に会社設立した12月決算の法人の場合、設立1年目の事業年度が9ヶ月しかありませんので、基準期間の課税売上高×(12ヶ月÷9ヶ月)として1年相当に換算することになります。
・基準期間が1年未満の個人事業主の場合は、1年相当に換算する必要はありません。

2. 特定期間の課税売上高及び給与等支払額が1,000万円を超える場合

基準期間の課税売上高で判定した結果、免税事業者に該当したとしても、特定期間の課税売上高及び給与等支払額がともに1,000万円を超える場合には課税事業者と判定されます。なお、特定期間とは、以下の期間のことをいいます。

<特定期間>
・個人事業主の場合:前年の1月1日から6月30日までの期間
・法人の場合:前事業年度の開始から6ヶ月までの期間

3. 消費税課税事業者選択届出書を提出している場合

免税事業者は、仕入れ等にかかった消費税額の控除ができないため、課税売上げに係る消費税額よりも課税仕入れ等に係る消費税額が多い場合であっても、消費税の還付を受けることはできません。

そのため、輸出業者のように経常的に消費税額が還付になる事業者は、消費税課税事業者選択届出書を提出することで課税事業者になることを選択することができます。ただし、この届出書を提出した事業者は、原則として、課税事業者となった日から二年間は免税事業者となることができませんので、注意が必要です。

4. 基準期間がない法人で、資本金が1,000万円以上の場合

新設法人は、原則として、基準期間がないため、免税事業者に該当し、消費税の納税義務はありません。

しかし、事業年度開始日における資本金が1,000万円以上の場合、消費税の納税義務は免除されず、課税事業者と判定されますので、注意しましょう。

5. 基準期間がない法人で、特定新規設立法人に該当する場合

資本金が1,000万円未満の新設法人は、基準期間がなく、かつ上記4.にも該当しないため、免税事業者に該当し、消費税の納税義務はありません。

しかし、特定新規設立法人に該当する場合、消費税の納税義務は免除されず、課税事業者と判定されます。特定新規設立法人とは、以下のすべての要件も満たす新設法人のことをいいます。

<特定新規設立法人の要件>
・事業年度開始日において、他の者に新設法人の株式等の50%超を直接または間接に保有されている
・他の者等の基準期間相当期間における課税売上高が5億円を超える

おわりに

消費税の納税義務の判定は、課税売上高1,000万円というのが一つのポイントになりますが、近年、消費税の納税義務の判定が非常に複雑化しているため、顧問税理士と相談のうえ、適切な対応を行いましょう。

ARDOR税理士事務所では、会社設立・組織変更、創業融資、税務・会計顧問まで幅広くサポートを行っておりますので、お悩みごとがあればぜひお気軽にご相談ください。

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