資産管理会社を活用した節税対策とは?メリット・デメリットを解説!

資産管理会社を設立して、「節税対策になった」、という話を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。確かに、個人として資産を管理するよりも、資産管理会社を設立して法人として資産を管理をする方が、主に税金の面で有利になることがあります。

この記事では、資産管理会社を活用するメリットやデメリット、設立手順を解説していきます。

目次

資産管理会社とは?

一般的な会社は、株式発行や銀行融資により資金調達を行い、その資金をもとに事業活動し、利益を挙げていきます。それに対して、資産管理会社は、不動産や株式などの資産を多く所有しているオーナーが、そのオーナー自身の資産を管理することを目的として設立した会社のことをいいます。そのため、オーナーのために会社を設立され、一般的な会社とは異なり、基本的にはオーナーの資産管理以外の事業活動は行わないことから、「プライベートカンパニー」と呼ばれることもあります。

資産管理会社だからといって、一般的な会社と形態が異なるわけではなく、資産管理会社も一般的な会社と同様に、株式会社や合同会社として設立されることが多いでしょう。

資産管理会社のメリット

資産管理会社を活用すると、以下のような節税メリットがあります。

1. 所得の分散

オーナー個人が所有する不動産や株式などの資産から生じる所得は、原則として、オーナー本人のみがその所得を受け取ることになります。

一方で、オーナー個人から資産管理会社へ資産を移転した場合、親族を役員に就任させることで役員給与という形で報酬を支払うことで、オーナー本人のみに帰属していた所得を資産管理会社を通じて、親族に所得を分散することができ、オーナーの所得税等を抑えることができます。

2. 損益通算

損益通算とは、複数の事業の損失と利益を合算することをいいます。例えば、不動産所得の利益がでたとしても、その他の事業で損失がでた場合、その損失分だけ、不動産所得の利益を圧縮することできます。

この損益通算は、個人事業主にも認められるているますが、資産管理会社の場合には損益通算の対象範囲が広がります。

3. 欠損金の繰越控除

欠損金の繰越控除とは、前期以前の事業年度で発生した損失を繰越して、当期以降に発生した課税所得と相殺することで課税所得を減少させ、法人税等の納税額を抑えることができる制度のことです。

もちろん、欠損金の繰越控除は個人事業主にも認められていますが、繰越期間は最長3年間と制限されているのに対し、資産管理会社の場合には最長10年間の繰越しが可能となっています。

そのため、損失と利益を長期にわたって平準化できることも、資産管理会社を設立することのメリットといえるでしょう。

4. 不動産の相続対策

オーナー個人が不動産を所有している場合、その不動産を複数の相続人で分割相続するためには、不動産持分の分割や金銭による代償分割などの手続きが必要になり、非常に厄介です。

そのような相続では、最悪の場合、遺産分割の争いが続く、いわゆる「争続」になってしまう恐れがあります。また、無事に相続できたとしても、相続後にその不動産を有効活用しようとしても、不動産持分を相続した複数人の間で意見調整する必要があり、手間がかかります。

しかし、資産管理会社を設立して、個人から資産管理会社へ不動産を移転させておくことで、相続資産であった不動産が資産管理会社の株式に代わります。そのため、資産管理会社の株式をどのように分割するかを考えるだけでよく、相続における資産の分割が容易になります。

そのため、資産管理会社を活用することで、相続時の手間と紛争のリスクを軽減させることができるというメリットもあります。

資産管理会社のデメリット

資産管理会社を活用することで様々なメリットがありますが、デメリットとしては資産管理会社の設立や維持、資産の移転に費用や税金がかかることが挙げられます。そのため、資産管理会社の設立することの是非を慎重に検討するようにしましょう。

1. 設立費用がかかる

資産管理会社を設立する場合、資本金の払い込みの他にも、設立費用がかかります。

設立費用としては、大まか株式会社の場合には約252,000円~、合同会社の場合には約110,000円~がかかります。

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2. 会社の維持費用がかかる

資産管理会社の維持費用としては、主に税金と税理士報酬の2つがかかります。

税金面では、資産管理会社が損失の場合であっても、法人住民税の均等割が年間で約7万円かかります。また、資産管理会社の会計や税務申告などの管理業務が必要となるため、顧問税理士への報酬支払いも発生することになります。

3. 資産の移転費用がかかる

オーナー個人から資産管理会社に資産を移転するときに、オーナー個人に譲渡所得税、資産管理会社に不動産取得税や登録免許税などの負担が発生することがあります。

また、資産管理会社の資金をオーナー個人が使用するためには、役員報酬や配当などによりオーナー個人へ資金を移転することになるため、オーナー個人に所得税がかかります。

資産管理会社の設立手順

資産管理会社を設立するまでの手順としては、以下の流れで、株式会社又は合同会社の設立登記する必要があります。

<会社設立の手順>
手順1:会社概要を決定する
手順2:法人実印を作成する
手順3:定款を作成し、公証役場で認証を受ける※
手順4:資本金の払い込みをする
手順5:登記申請書類を用意する
手順6:法務局で登記申請する

※ 合同会社の場合は、定款の認証は必要ありません

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おわりに

一般的には、あまり知られていない資産管理会社ですが、上手に活用することで様々なメリットが受けられます。特に、税制上の優遇を受けれられることや相続対策になることなどが大きな魅力といえるでしょう。

多額の不動産や株式を所有している方や相続対策の必要がある方は、ぜひ資産管理会社の活用を検討してみるとよいでしょう。なお、資産管理会社の設立には、会社の設立費用や維持費用、資産の移転費用などがかかるため、設立の是非について慎重な検討が必要になります。そのため、資産管理会社の設立を考えている方は、まずは税理士に相談することをおすすめします。

ARDOR税理士事務所では、会社設立・組織変更、創業融資、税務・会計顧問までサポートを行っておりますので、お悩みごとがあればぜひお気軽にご相談ください。

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