経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)を活用した節税対策を解説!

「中小企業倒産防止共済制度(以下、「経営セーフティ共済」という。)」という制度をご存知でしょうか?
経営者の方でもあまり聞き馴染みのない共済制度かもしれませんが、節税対策としてぜひ知っておきたい共済制度の一つです。

この記事では、経営セーフティ共済を活用した、貯蓄しながら節税対策ができる方法を解説していきます。

目的

  • 経営セーフティ共済とは?
  • 経営セーフティ共済の加入資格
  • 経営セーフティ共済の掛金
  • 経営セーフティ共済の解約手当金
  • 経営セーフティ共済の共済金および一時貸付金
  • おわりに

経営セーフティ共済とは?

経営セーフティ共済は、中小企業倒産防止共済法に基づく共済制度で、取引先が倒産した際に中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための共済制度です。令和4年3月末現在では、この共済制度に約59万の企業や事業者等が加入しています。

この経営セーフティ共済は、会社のセーフティネットとしてだけではなく、節税対策としても活用することができます。まずは、共済制度の概要をご紹介していきます。

経営セーフティ共済の加入資格

経営セーフティ共済には、継続して1年以上事業を行っており、かつ、以下の加入要件に該当する事業者が加入することができます。なお、加入資格さえ満たせば、法人又は個人事業主を問わず加入することができます。

出典:独立行政法人 中小企業基盤整備機構「経営セーフティ共済」

経営セーフティ共済の掛金

掛金の設定および上限

掛金は毎月27日に支払うことになります。
掛金月額は、5,000円から20万円までの範囲において5,000円単位で自由に設定することができ、掛金総額が最大800万円に達するまで積み立てることができます。

掛金の変更(増額又は減額)

掛金の変更を希望する場合、毎月の5日(土・日・祝日の場合は翌営業日)までに中小機構に掛金月額変更申込書を提出することで、希望月から掛金を柔軟に変更することができます。掛金を1ヶ月単位で変更することができるため、会社の資金繰りの状況にあわせた掛金の支払いが可能となっています。

掛金の税務上の取り扱い

経営セーフティ共済への掛金月額の支払いは、その全額が損金算入(税務上の費用)されます。
生命保険等の場合、掛金の2分の1が損金算入される商品が一般的なため、経営セーフティ共済の方が節税効果が大きいといえます。
さらに、経営セーフティ共済の1年以内の前納掛金についても損金算入することができます。

経営セーフティ共済の解約手当金

経営セーフティ共済契約は、いつでも解約することが可能です。
解約手当金の掛金の積立期間の応じて支給率が決まっており、40ヶ月以上の掛金納付を行えば、掛金の全額が戻ってきます。
ただし、掛金は全額が損金算入されるのに対して、解約手当金は全額が益金算入されます。このため、解約のタイミングは注意する必要があります。

出典:独立行政法人 中小企業基盤整備機構「経営セーフティ共済」

経営セーフティ共済の共済金および一時貸付金

共済金

経営セーフティ共済は、取引先が倒産した際に、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度です。
このため、取引先が法的に倒産したことにより、売掛金債権等の回収が困難となった場合、共済金の貸付け(主な条件:無担保・無保証人、借入期間5~7年、無利息)を受けることができます。
なお、共済金の貸付金は、掛金総額の10倍(ただし、回収困難となった被害額の範囲内)が上限となっています。

一時貸付金

経営セーフティ共済の加入者は、取引先が倒産していなくても、臨時に事業資金を必要とする場合、解約手当金の95%を上限として一時貸付金(主に条件:無担保・無保証人、借入期間1年、金融情勢に応じた利息)を受けることができます。

出典:独立行政法人 中小企業基盤整備機構「経営セーフティ共済」

おわりに

経営セーフティ共済は、「掛金を1ヶ月ごとに柔軟に変更できること」、「掛金の全額が損金算入されること」、「40ヶ月以上の掛金納付を行えば全額が戻ってくること」に優位性があります。
取引先の倒産リスクに備えつつ、黒字決算の年度に掛金納付を行い、赤字決算の年度に解約手当金を収受することで税金納付を平準化することができますので、ぜひご検討してみてください。

ARDOR税理士事務所では、会社設立・組織変更、創業融資、税務・会計顧問まで幅広くサポートを行っておりますので、お悩みごとがあればぜひお気軽にご相談ください。

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