決算期は変えられる!決算期の変更手順と注意点
会社の一定期間の経営成績や一定期日の財政状態を計算し、確定させる作業のことを「決算」といい、決算を行うために人為的に区切った期間を「事業年度」又は「会計期間」といい、その事業年度の最終月のことを「決算期」又は「決算月」といいます。
個人事業主は決算期が12月と決まっていますが、それに対し、法人は定款に定めることで、任意に決算期を設定することができます。そのため、決算期を3月や12月にごだわる必要はまったくありません。
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また、実際に事業運営するなかで、会社を設立したときは状況が変化することもあるでしょう。意外と知られていませんが、決算期は、法人が任意に設定するものであり、必要な手続きをすることで決算期を変更することもできます。
この記事では、決算期の変更手順や注意点を解説していきます。
目次
- 決算期の確認方法
- 確認方法1:定款を確認する
- 確認方法2:税務署などへの法人設立届出書の控えを確認する
- 確認方法3:会社の設立手続きを依頼した専門家に確認する
- 確認方法4:税務署に問い合わせて確認する
- 決算期の変更手順
- 手順1. 株主総会を開催し、定款変更を行う
- 手順2. 税務署等の行政機関へ異動届出書を提出する
- 登記変更手続きは不要
- 決算期の変更の注意点
- 1. 時間と事務負担がかかる
- 2. 税金の納付が前倒しになる
- 3. 前年との対比が難しくなる
- おわりに
決算期の確認方法
まず決算期の変更をする前に、自社の決算期がいつか確認しましょう。万が一、決算期を忘れてしまったという場合でも、いくつか確認する方法がありますので、ご安心してください。ここでは、決算期を確認する方法をいくつかご紹介していきます。
確認方法1:定款を確認する
一般的に、定款の「計算」という章に「事業年度」が記載されているため、決算期を把握した場合には定款を確認するとよいでしょう。
例えば、定款に以下のように記載されている場合、事業年度は「4月1日~3月31日」、決算期は「3月」と分かります。
<具体例>
当会社の事業年度は、毎年4月1日から翌年3月31日までとする。
確認方法2:税務署などへの法人設立届出書の控えを確認する
もし定款が手元にない場合、税務署や都道府県税事務所、市区町村に提出した法人設立届出書の控えを確認しましょう。法人設立届出書には、会社の事業年度が記載されています。
<具体例>
事業年度(自)4月1日(至)3月31日
確認方法3:会社の設立手続きを依頼した専門家に確認する
もし定款や法人設立届出書が手元にない場合、会社の設立手続きを依頼した、行政書士や司法書士、税理士などの専門家に問い合わせしてみましょう。専門家は会社設立に関する書類の写しを保管していることがあるため、決算期を確認できる可能性があります。
確認方法4:税務署に問い合わせて確認する
上記のいずれの方法でも決算期が確認できない場合には、税務署に問い合わせしてみましょう。
税務署に電話で問い合わせをし、会社名を名乗り、「決算期がわからないので、法人設立届出書に記載した決算期を教えてください。」と確認してみましょう。税務署によって対応が異なる場合がありますが、代表者自身であれば電話で教えてくれることもあれば、税務署に直接行き書類を閲覧して確認することもあります。
決算期の変更手順
決算期は、法人が任意に設定するものであり、必要な手続きをすることで決算期を変更することもできます。ここでは、具体的な決算期の変更手順を解説していきます。
手順1. 株主総会を開催し、定款変更を行う
決算期の変更は、定款に定められた事業年度の変更することにより行うため、株主総会の決議が必要となります。なお、定款の変更には、株主総会の特別決議が必要であり、議決権を行使できる株主の過半数の株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成を得なければなりません。
株主総会を開催し、定款変更の決議を行った後に、株主総会議事録を作成することになります。
手順2. 税務署等の行政機関へ異動届出書を提出する
所轄の税務署、都道府県税事務所、市区町村役所に、異動届出書のほか、変更後の定款、株主総会議事録を提出する必要があります。それらの書類が無事に受理されれば、決算期の変更に関する手続きは完了となります。
なお、許認可の取得が必要な事業を行っている法人の場合、管轄の省庁等への届出が必要となることもあるため、必要な手続きを事前に確認しておきましょう。
登記変更手続きは不要
事業年度は登記事項ではないため、定款変更を行ったとしても、法務局への届出で不要です。
決算期の変更の注意点
決算期の変更にはいくつか注意点がありますので、決算期の変更を検討する際の注意をいくつかご紹介します。
1. 時間と事務負担がかかる
決算期の変更をする際、変更手続きに「時間と事務負担がかかる」というのは明らかです。
決算期の変更は、登記事項ではないため、登記手続きは不要であり、手続き自体はそれほど難しいものではありませんが、株主総会の開催や届出書の提出など事務負担が発生します。
また、事業年度は1年以内にする必要があるため、決算期の変更としては、決算期を早めることはできますが、遅らせることはできません。そのため、決算期を変更した事業年度は、必然的に12ヶ月未満の変則決算となり、決算までの期間が短く、短期間で決算及び税務申告を行うことになります。
2. 税金の納付が前倒しになる
申告及び納税の延長申請をしていない限り、法人税や消費税の申告及び納付期限は決算期の末日から2ヶ月後となっています。
決算期の変更をすると、決算期の変更を行った事業年度は12ヶ月未満となるため、税金の納付時期が例年よりも前倒しになってしまいます。そのため、資金繰りに影響が出る可能性もありますので、納税資金の確保も念頭に置いて決算期の変更を検討する必要があります。
3. 前年との対比が難しくなる
一般的な経営管理の手法として、会社の業績を把握するために、売上高や営業利益などはじめたとした財務数値を前年と対比して確認することがあります。
しかし、決算期の変更を行った事業年度は12ヶ月未満になり、決算期の変更前後では、前期と当期で事業年度が異なるため、単純に前年との対比で業績の良し悪しを確認することが難しくなります。
その場合、前年の財務数値又は当年の財務数値に倍数を乗じて、簡易的に比較するは可能ですが、季節性があるビジネスなど月次で売上や費用が大きく変動する場合は、あまり参考にすることができません。
おわりに
会社経営をするうえで、会社の事業実態に合わせた決算期を設定することは、資金繰りや節税対策においても非常に重要です。もちろん、会社設立時に最適な決算期を設定することが望ましいですが、会社設立後においても事業運営の変化に合わせて、決算期を変更することは十分に可能ですので、慎重に検討したうえで決算期を変更するようにしましょう。
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