Q.

ドローン投資による節税という話を聞いたことがあるので、どのようなスキームなのでしょうか。

A.

一般的にドローン投資による節税スキーム(厳密には、「課税繰延スキーム」)は、大まかに次の流れで行われていました。

法人が決算期末にドローンを大量購入することで、その事業年度の利益を圧縮することができます。そして、翌年度以降、賃料収入により投資回収することができ、課税の繰延効果が得られます。

1.決算期末にドローンを大量に購入する

通常、資産を取得した場合には、その資産の種類や用途等に応じて定められている法定耐用年数で減価償却をしなければなりません。例えば、空撮専用ドローンは、「カメラ」に分類され、耐用年数は5年となります

ただし、多くのドローンは1機当たりの購入金額は10万円未満となっているため、少額の減価償却資産として、購入金額の全額を購入した事業年度の経費とすることができます。

2.購入したドローンをドローンスクールや建設会社等に貸付け、賃料収入により投資回収をする

購入したドローンは、ドローンを使う会社へ貸付けることで、毎月の賃料収入を受取ります。この賃料収入は、賃貸借契約によってことなりますが、複数年に及ぶため、売上が一度に計上されることがはありません。

[具体例]
N期の決算期末に、次の条件でドローン投資を行った場合
・投資額:1台あたり9万円
・投資台数:100台
・賃料収入総額:投資額の103%
・賃貸借期間:2年

[会計処理例]
1.ドローン購入時(N期)
(借方)消耗品費900万円 / (貸方)現金及び預金900万円

2.賃料収入(N+1期)
(借方)現金及び預金464万円 / (貸方)賃料収入464万円

3.賃料収入(N+3期)
(借方)現金及び預金463万円 / (貸方)賃料収入463万円

ただし、令和4年(2022年)4月に施行された税制改正により、取得価額10万円未満の減価償却資産のうち、貸付けの用に供したものは、少額減価償却資産から除外されました(主要な事業として行われているものは除く)。そのため、令和4年4月1日以降に行うドローン投資は、通常の法定耐用年数で減価償却しなければならないため、節税効果が低く、積極的に利用されなくなっています。

《参考》
国税庁|空撮専用ドローンの耐用年数
国税庁|No.5403 少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示
国税庁|No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例

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